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講座の歴史

京都大学百年史 部局史編(第2巻)
第9章 工学部/第2節 学科・専攻の発展/ 第18項 分子工学専攻
より抜粋
・・・

その後、工学部石油化学科福井謙一教授のノーベル化学賞受賞(昭和56〈1981〉年)が契機となって、それに関連する物理化学系講座が協力し、昭和58(1983)年4月1日を もって分子工学専攻の発足を見た。石油化学科から高温化学講座(教授米澤貞次郎)が転出し、これが核となって分子工学専攻基幹3講座が設置され、 分子設計学講座を米澤が、英国ノッティンガム大学から招聘された教授ジョージ・ガーフィールド・ホール(George Garfield Hall、戦後初の国立大学外国人教授)が分子物性工学講座を、 東京大学工学部から招かれた教授本多健一が分子エネルギー工学講座をそれぞれ担任した。

(中略)

分子物性工学講座 本講座は昭和58(1983)年4月に分子工学専攻の創設と同時に分子工学第2講座として新設された基幹講座である。初代の担任教授には前出のホールが就任した。 ホールは理論化学を専攻し、衝突論、固体物理、数理物理学、化学反応路理論などを研究対象とした。ホールは本講座において、 分子の静電ポテンシャルや電子密度を汎関数や点電荷による表現に置き換えて解析し、ミューオンの取り扱いなどにも応用した。 また、化学反応のエネルギー表面を解析的に表現することにより分子内エネルギー移動の動的過程などを調べた。 さらに、化学以外でも数学モデル化などの数学教育に関する研究も行った。ホールは昭和63(1988)年の停年退官とともに帰国したが、 平成元(1989)年に京都大学工学部で最初の名誉博士号を授与された。

平成元(1989)年4月に助教授藤本博が教授に昇任し、本講座を担任し今日に至っている。藤本は講座創設時より量子化学の基礎と 応用の両分野において研究活動を行ってきた。現在、量子化学理論に基づいて分子間相互作用、化学反応、触媒作用、化学結合の生成・開裂などの化学事象を表現するために、 軌道概念、局所的相互作用、分子の化学的硬さなどの考えを用いた新しい方法論を展開させ、多様な分子が相互作用することによって発現する分子物性、分子の電子構造と機能、 分子の反応性と選択性の制御などの問題について研究を行っている。(註:この記載は平成9年時点)

平成14年の藤本教授の停年退官に伴い、同年4月1日より榊茂好教授が本講座を担当している。
また平成19年4月より、分子理論化学講座と改称した。

最終更新:2007年4月3日
ページ開設:2002年6月23日